線香花火
パチ、パチと私の花火が
音を乱し始めた。
きっともうすぐ終わる。
そう直感した。
予想通り、パチ、と最後の音を出して
火の玉がポトリと地面に落ちた。
私の負けだ。
悔しい、という気持ちは
全くなかった。
むしろ、良かったと思っている。
自分の願いを言うことが
怖かった。
言ったら、亜樹斗に告白
するのと同じだ。
それで言ってフラれたら
お話にならない。
恥をかくだけだ。
そんなのはごめんだ、と思った。
「よし!俺の勝ちだ。
願い事を言うぞ!」
と、意気込んで言った。
「茉莉が好きだ!」
…え?
今、なんて…?
「ねえ、今、なんて…」
私はもう一度、聞き返した。
「今?茉莉が好きだって言ったぞ」