線香花火
中学生になる頃には
私を振り回すこともなく、
むしろ気遣って
くれるようになった。
日直のとき、黒板を
消すときに届かなかったりすると
『大丈夫か?俺がやるよ』
と言って届かないところを
消してくれた。
何らかのグループ決めで
私だけが余ったりすると
『俺のところにおいでよ』
と言って、私を
仲間に入れてくれた。
そんな優しさが幾度か続いて
私は亜樹斗に惹かれていった。
だけど、この想いは
高校生になった今でも
伝えられずにいる。
ずっと、片想いのままだ。
フッと小さくため息を
ついた時、ちょうど
バケツを持った亜樹斗が来た。