お熱いのがお好き?


ーーおばあちゃんがこれ以上、目が悪くなったら困るからゲームやるなって言うんだよ。
成績が下がるから駄目だって…


去年、小学五年生だった坊主頭の竜聖は唇を尖らせて言った。


竜聖は去年から、眼鏡をかけ始めた。

そんなだから、スポーツは苦手なのかと思いきや野球チームに入っていて、セカンドを守っていると言った。


やるなと言うなら、ゲーム機など買ってやらなければいいのに…


麻紀は思う。


それでは、饅頭を目の前に置いて食べるなと言っていると同じではないか。


きっと姑の葉子は、学校のクラスメイトの中で竜聖だけがゲームを持っていないのは世間体が悪いと思って買ってやったのだろう。


たいしたことないくせに、葉子はやたら、世間体を気にするのだーー


あんな食えないババア…


楽しい旅行の始まりに、とっくに過去の人間である葉子の事を思い出してしまい、麻紀は舌打ちする。



旅行の日程は二泊三日。



新千歳からツアーバスに乗り、トマムにある広大なリゾートの中にあるタワーホテルに二泊する。


そこを拠点に、北のグルメを楽しみ、バスツアーに参加して花の多い八月の北海道を満喫する予定だ。




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