お熱いのがお好き?


麻紀より4歳年下の清志は、その日から完全に麻紀の言いなりになった。


麻紀の言葉通りパチンコを止め、ホテル代は必ず用意した。

時々、麻紀に洋服や靴を買ってくれた。


清志は仕事で婦人衣料品も扱うからか、ふくよかな麻紀に似合うものを上手く探し出してくれる。


それは、決して高価なものではなかったけれど、麻紀は嬉しくて仕方なかった。


夫の真和は、麻紀の誕生日ですら、すっとぼけ、何もくれなかったから。





◇◇◇


思いがけない、いきなりの姑・葉子の攻撃。

さすがの麻紀も言葉を失ってしまった。


「…それは…」



ダイニングテーブルに向かい合わせに座り、きまずい沈黙が流れる。


否定する言葉を探し出せなくて、口籠ったその瞬間、麻紀は何かを認めたのと同じになってしまった。


「フン!」

葉子は湯呑を手にしたまま、鼻で息を吐いた。勝ち誇った顔で言う。


「やっぱりあんたは、真和に相応しくないわ。
浮気の事、真和には黙っててあげる。
これで修羅場は避けられる。

その代わり、あんた出て行きなさいよ。子供達は私が育てるわ」


「….そんな!」


葉子とは義理の関係とは言え、親子のはずだ。それなのに。

非情過ぎるその言葉に、麻紀は衝撃を受けた。


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