お熱いのがお好き?
白を黒に変えようとする女
2年半前ーーー
清志の車で、海へドライブデートした日の夜。
初めて、[白い恋人]で清志に抱かれた。
彼は麻紀の身体を夢中でむさぼり、賞賛してくれた。
麻紀はこんなにベッドの中で幸せを感じたことがなかった。
ーー麻紀は可愛い……
麻紀の肌は綺麗だ…
すっげえ抱き心地がいい…マシュマロみたいだ……
最高にいい……
清志が遊び人風の男だったら、こんなセリフは嘘くさい。
身長158センチの麻紀と同じ目線の高さの清志は、32歳にして頭髪にチラホラと白髪が混じり、雰囲気が少しおっさんくさかった。
八の字眉毛の童顔で、男にしては可愛らしい顔をしているが、痩せ型で気弱な感じがする。
こういう男は女に縁がなさそうに見えて、実はそうでもない。
安心感を与えるから、女が近寄りやすい、と麻紀は気が付いた。
清志と付き合いはじめてから、夜だけのパートでは飽き足らず、昼も週4回、レジに入ることにした。
夕飯のおかずはほとんど出来合いの惣菜になったけれど、仕方ない。
睡眠を優先するから、まともに料理する時間なんてないのだ。
真和の愚痴も無視した。
清志に変な女の影がないか、観察することの方が大事だ。