お熱いのがお好き?


「ミキぃ、今日の獲物、何ぃ?」


「あたしねぇ、このチョコ。
美味そうでしょ?コマーシャルやってるやつだよぉ」


「知ってるぅ。エミはグミもらったあ。あと、いきなり生理来たから、ナプキンもぉ」


「エミぃ。やり過ぎぃ。バレるってば!」



麻紀は愕然とした。


あの子達、万引きしてる…!



この商売において、万引きは死刑に値する大罪だ。


ましてや、アルバイトである彼女達の行為は、店長以下、従業員の信頼を土足で踏みにじるものだ。


許せないっ…!


麻紀の拳はワナワナと震えた。


早速、店長に報告しなくては。

コーヒーを飲んでサボっていたことは、体調が悪かったことにすればいいだろう。


そこで、はたと麻紀は思い付く。


エミもミキもカレンも同じ高校だ。




……カレンも巻き込んでやろう。



行動するかしないかは別として、麻紀は子供の頃から、こういう悪知恵は天才的だった。


やった…!


素晴らしいアイディアに小躍りした。

すぐに、店長のそばにすり寄る。


「すみません、店長。ちょっとお話したいことがあるんですけれど」


麻紀は深刻な顔を作り、女子高生アルバイト達の会話を報告した。







< 25 / 110 >

この作品をシェア

pagetop