お熱いのがお好き?
「ミキぃ、今日の獲物、何ぃ?」
「あたしねぇ、このチョコ。
美味そうでしょ?コマーシャルやってるやつだよぉ」
「知ってるぅ。エミはグミもらったあ。あと、いきなり生理来たから、ナプキンもぉ」
「エミぃ。やり過ぎぃ。バレるってば!」
麻紀は愕然とした。
あの子達、万引きしてる…!
この商売において、万引きは死刑に値する大罪だ。
ましてや、アルバイトである彼女達の行為は、店長以下、従業員の信頼を土足で踏みにじるものだ。
許せないっ…!
麻紀の拳はワナワナと震えた。
早速、店長に報告しなくては。
コーヒーを飲んでサボっていたことは、体調が悪かったことにすればいいだろう。
そこで、はたと麻紀は思い付く。
エミもミキもカレンも同じ高校だ。
……カレンも巻き込んでやろう。
行動するかしないかは別として、麻紀は子供の頃から、こういう悪知恵は天才的だった。
やった…!
素晴らしいアイディアに小躍りした。
すぐに、店長のそばにすり寄る。
「すみません、店長。ちょっとお話したいことがあるんですけれど」
麻紀は深刻な顔を作り、女子高生アルバイト達の会話を報告した。