お熱いのがお好き?


エミ、ミキ。……少し良心が痛んだけれど、カレンの名前も一緒に。


エミとミキとカレンは、店長に呼ばれ、持ち物検査をされた。


エミとミキのカバンの中からは、麻紀の密告通りの品物が出てきた。

悪事がバレた2人は、すぐに警察に突き出された。


嫌疑不十分のカレンは、警察に行くことはなかった。


しかし、疑いをかけられたショックで彼女は泣きながら店を飛び出し、そのまま、アルバイトを辞めてしまった。



「まあな…しょうがねえよな…」


その話を店長から聞いた清志は、[白い恋人]の円形ベッドの上で、麻紀に腕枕をして溜息混じりにそう言った。





◇◇◇



新千歳空港からは、トマムのリゾートホテルまでツアーバスに乗る。


麻紀は、北海道に行くのは2度目だ。

独身だった23歳の時、友達と札幌や函館をツアーで廻った。


バスの中はファミリー客で満席だ。


テンションの上がった子供たちのはしゃぐ声は、まるで動物園の檻の中のような騒がしさだ。



「うるっさいわねぇ…親何やってんのよ…注意しろよ…」


自分だって子供連れのくせに、麻紀はブツブツ言い、またチッと舌打ちする。


これは麻紀の若い時からの癖だ。
感じ悪いと分かっているけれど、時々出てしまう。



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