お熱いのがお好き?


麻紀の3人の子供達は、割りと物静かで、ぎゃあぎゃあ騒ぐということはない。


これは、子供が幼い頃の自分の躾が良かったからだと麻紀は思った。


麻紀達が泊まるトマムのホテルでは夏休み期間中、ファミリー客の集客を目論んで、様々なイベントをやる。


お祭りの屋台、スタンプラリー、屋外では釣堀でのザリガニ釣りやカブト虫やクワガタのつかみ取り。

エアーの入った大きなふわふわ滑り台やトランポリンもある。


夏休みの宿題にどうぞと、アロマキャンドル作りや木を使った工作教室。
パン作り教室まである。


せっかく北海道まで来ているのに、そんなことしなくてもいいのに、と思うけれど、子供達が楽しく過ごせるように、様々な趣向が凝らされている。


だから、麻紀はここを選んだ。


バスの中で、中ほどの座席に雄哉と麻紀が並んで座り、その後ろのに梨花と竜聖が座った。


「梨花、窓際すわれよ」


背後から竜聖が、妹に窓際の座席を譲る声がした。


優しい子ね……

麻紀の胸は温かくなる。


「僕、窓際ね!」


ここでも、雄哉は当然のように窓際の席に座る。


これからバスは昼食の為に途中ドライブインに寄り、それから一路、トマムを目指す。




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