お熱いのがお好き?
離婚で見つけた真実の愛
真和との離婚は、とてもスムーズに運んだ。
調停で麻紀は、あっさり親権を放棄した。
「親権を手放さなければ、真和に浮気をバラし、精神的慰謝料を請求するから。
あんたの相手の男の勤め先にも不倫をバラすから」と葉子に脅されたからだ。
パート主婦と淫らな関係だとわかれば、清志の社会的信用はガタ落ちだ。
クビになるかもしれない。
麻紀が浮気をしたと、公の場で明らかになれば、プライドの高い真和は怒り狂うだろう。
口下手な真和は、麻紀と夫婦喧嘩になると、カッとなって物に当たった。
10年の結婚生活の間に、何枚もの皿や茶碗が犠牲になった。
今度ばかりは物で済まされないだろう。恐ろしかった。
麻紀にしても断腸の思いだったけれど、仕方なかった。
麻紀が圧倒的に不利な離婚調停での決定事項。
①親権は父親の甲(真和)が持つ。
②慰謝料は双方とも請求しない。
③乙(麻紀)の面会は、年二回のみ。ただし、電話通話はいつでも可能。
完全に葉子の要求通りだった。
でも、争いを長引かせたくない麻紀は不本意だったけれど、涙を飲んだ。
何も決まらない間は、子供たちと全く会うことが出来なかったからだ。