お熱いのがお好き?
葉子は裁判をしてでも、自分の主張を曲げない、と息巻く。
麻紀には、裁判をするお金なんてどこにもない。
調停室で、葉子はすれ違いざま、麻紀の耳元で囁いた。
「浮気したのは嫁なのに、慰謝料を請求しないんだから、感謝して欲しいわよ」
真和といえば、勢いづいた葉子の後ろで、ポカンとするばかりだった。
…清志は、本当に真面目な男だった。
「麻紀が離婚することになったのは、俺のせいだ。俺が麻紀を幸せにする」
責任を感じた彼は、寮を出て借りた2DKのアパートに麻紀を呼び寄せた。
故郷の麻紀の両親は、兄一家と同居し、楽しく暮らしている。
そんなところに出戻りなど出来ない。
麻紀は清志に『真実の愛』を感じ、涙が出そうになった。
一緒に住み始めた2人は、新婚さながらに毎日がアツアツだった。
麻紀は、子供を失った悲しみを胸に仕舞い込むことが出来た。
結果が出てしまったことをいつまでも、クヨクヨしていても仕方ない、そう考えて、自分を慰め、落ち着かせた。
離婚し、2年の月日が経った今。
麻紀は、清志との夜の営みが激減したことに悩み、対策を練っていた。