お熱いのがお好き?
だから、夜の生活は重要だった。
40になる前に速攻で出産したい。
あまり時間がない。
それなのに、清志は異動になった春以来、すっかり元気がなくなってしまった。
一緒に住み始めてから2年間、週に2度は必ずしていたのに。
麻紀は数字だけのカレンダーを見ながら、指を折って数え始める。
「ええっ!2週間もご無沙汰なの!?」
麻紀は愕然とした。
何のために2DKのアパートにダブルベッドを置いているのか…
子供達との北海道旅行まで、あと2週間ほど。
自分自身も20歳前後に相次いで両親を亡くした清志は、親のいない淋しさが、よくわかると言い、子供と別れてしまった麻紀をとても不憫がる。
年に1度、子供達と麻紀が一生記憶に残るようなよい思い出を作れるようにと、決して高くはない月給から積み立てをして旅行資金を工面してくれる。
こんな欲求不満のまま、大枚はたいた大事な旅行に行くなんて許せない。
麻紀は拳を握りしめた。
(こんな時、男を責め立てるのは、愚かな女がすることよ……
そんなの私は今までの人生経験から知っているんだから!)
…というのは見栄で、麻紀はそっち方面の知識をほとんど友達の話とか女性漫画雑誌で学んだ。