お熱いのがお好き?
けれど、中に入ると違った。
ほの暗いエントランスやロビーには、凝った南国のジャングル風の飾り付けが施され、どこかのテーマパークのアトラクションみたいだ。
「あらあ!なんとかマウスが出て来そうね!」
清志の腕に自分の腕を絡め、麻紀は嬉しくなる。
以前、清志と通い詰めた[白い恋人]とはエライ違いだ。
各部屋の写真がパネルとなっていて、そこから好きな部屋を選びだす仕組みになっている。
すでに半分くらいは黒い。そこは「使用中」ということらしい。
「ま〜平日の午前中から、よくやるわよねぇ…」
自分のことは棚に上げて、麻紀はあきれ返る。
「まあ、せっかく来たし、このへんでいいだろ…」
清志が選んだのは、80インチのプロジェクターと露天風呂がウリの部屋だった。
「露天風呂!すごい、すごい!」
麻紀はパネルの前で飛び上がって、パチパチと拍手した。
「麻紀はほんと可愛いよなあ…」
清志は苦笑しながら、麻紀に顔を寄せて言う。
部屋のインテリアは無理してベルサイユ風というか、ちょっと安っぽかったけれど、とても広くて清潔な感じで申し分ない。