お熱いのがお好き?
清志は、早速大画面のプロジェクターを操作する。
「うわ…すげえ…」
天井からスルスルと降りてくるスクリーンを見上げ、口をポカンと開けて関心する。
DVD映画など観ている場合ではないから、とりあえず、情報バラエティ番組を写してみた。
ベッドはキングサイズだ。
部屋の中央にドーンと鎮座している。
「これなら、何でも出来るねえ!」
全てが目新しい。
麻紀はベッドに腰掛け、上機嫌でぴょんぴょん飛び跳ねる。
部屋の外にはバルコニーがあり、そこには、円形の露天風呂があった。
コンクリート壁と目隠しのガラス板に囲まれ、外の景色など見えないけれど、サンルーフのように、空いた天井から青空が見える。
本当の露天とは言えないが、外からの風に吹かれながら、温かい湯に浸かることが出来るようになっている。
目ざとく麻紀は見つける。
「あっ!泡風呂の素もある!
これ入る時にやろう!
マリリンモンローみたいに、片脚だけ泡から出しちゃおうかなっ」
無邪気にはしゃぎながらも、麻紀はソファに置いた自分の黒いショルダーバッグにそっと目をやる。