お熱いのがお好き?
ガラガラヘビがやってきた
「いい!?
ママが帰ってくるまで、ここで待ってるんだよ!
誰か来て、お母さんが呼んでるからって言われてもついていっちゃダメだよ!」
「はーい!」
素直に返事をしてくれたのは、末っ子雄哉だけで、竜聖と梨花は聞こえないふりだ。
(まったく…2人とも、父親の真和に影響されているのね…ひねくれちゃって…)
麻紀は小さくチッ…とまた舌打ちをした。
こんな時は風呂が1番だ。
麻紀は1階の渡り廊下で繋がれた別棟にある大浴場までノロいエレベーターを使い、降りた。
大浴場は、中途半端な時間帯なせいか、誰もいなかった。
どーんと大きな浴槽に、なみなみと温かそうな湯がたたえられ、白い湯気を立てている。
「やったあ…独り占め!」
麻紀は嬉しくなる。
ふふふん♪と鼻歌が出てしまう。
とりあえず、手桶で掬った湯で汗を流し、石鹸を泡立てた手で、局所のみを素早く洗う。
そして、湯の中に思い切り、飛び込んだ。
「わっ!」
焦った。
浴槽の底で足が滑り、転びそうになってしまった。
こんなところで転倒して、頭をどこかの角にぶつけ、全裸で流血騒ぎなどシャレにならない。
(危ない、危ない…)