お熱いのがお好き?


あ〜生き返るねえ、と手ぬぐいを頭に乗せ、葉子はしみじみのんびりと言った。


(お前は、ゾンビか。殺しても死なないクセに…)


心の中で麻紀は毒づいた。


「あー、私、露天風呂行こうっと…」


さりげなく葉子から離れ、麻紀は浴槽から一旦出て、露天風呂へ向かう。



「そう?じゃ、あたしもいこうかしら」


葉子は麻紀の後をついてきた。


(ゲッ…何このオバサン?!)

仲良しでもないのに。


麻紀は眉をしかめた。



露天風呂でも、麻紀は葉子と肩を並べる羽目になった。


「あんたと逢うの久しぶりだけど、あんた、また太ったね?」


「そ、そうですかあ?このところ、体重キープしてるんですけどね」


葉子の人を小馬鹿にしたような言い草に、また麻紀の心はカッとなる。

昔と、全然変わっちゃいない。50過ぎた女が、今更変わるわけがないのだが。


このところ、麻紀はダイエットに成功して1キロ、体重が落ちた。

太ったなんて言わせない。


本当に口から出まかせの適当なおばさんだ。


葉子には、本当に散々な目に合わされた。


今となっては真和なんてどうでもいいけれど、大事な子供達と別れる羽目になったのは、葉子のせいなのに。





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