お熱いのがお好き?
当たったけれど、中身は使用済みパンツとブラだし、痛いはずがない。
(平身低頭して謝ることはないわよね…)
落ちた巾着を拾って、女の脇を素早くすり抜ける。
「すいません。ちょっと」
女が追いかけてきた気配がして、麻紀の肩をとんとん、と叩いた。
「えっ何か!?」
なんか文句あるの!?と逆ギレ気味に麻紀は振り返った。
するとそこには、サラサラストレートの茶髪を腰の辺りまでまで伸ばした可愛らしい若い女が立っていた。
女は、人懐こい笑顔を見せている。
「やっぱり、高木さんだあ!覚えてます?私、カレンです。山田カレン!」
(えっ!)
麻紀は目を見開く。
そこにいるのは、2年前、麻紀の罠にかかり、泣いて店を飛び出したあのカレンに違いなかった。
少し大人びた感じになっているが、化粧の濃さも当時と変わらない。
手脚の細さと長さを見せびらかすように、ノースリーブのヒラヒラした水色のミニ丈ワンピースを着ている。
まるでモデルみたいなカレンは、人で溢れるホテル館内でも、よく目立った。
時々、人が振り返り、カレンを見る。
「…あ〜はいはい。カレンちゃんね。久しぶりねえ」
突然の再会に麻紀は焦り、声が裏返ってしまった。