お熱いのがお好き?
そこで出逢ったのが当時32歳の主任、桐島清志(きりしま きよし)だった。
清志は、深夜働く女性の麻紀をとても気遣い、優しくしてくれた。
夫・真和とは全然違う。
真和は結婚当初からあまり麻紀に優しくなかった。
結婚してから、10年の間に彼は10キロ以上太った。
完全にメタボ体型なのに、自分のことを棚に上げて麻紀をデブ呼ばわりする。
三男の雄哉が生まれてからは、夫婦生活もほとんどなくなかった。
子供たちに注ぐ愛だけでは、麻紀は満足出来なかった。
自分も誰かに愛されたいと渇望していた。
清志に優しく笑いかけられただけで、麻紀は有頂天になってしまった。
清志とは、なんとなく気が合い、バッグヤードで会話をしていると話が止まらなくなってしまう。
決して、イケメンではないが、ブサイクでもなく、親しみやすい男だった。
麻紀は清志の言うことがなんだか面白くて仕方がなかった。
……恋の始まりのように。
ーー桐島主任と高木さん、客の前でもおしゃべりばかりしている。
他の年配パート主婦に告げ口され、店長から清志は厳重注意を受けてしまった。
それから、清志は、意識して麻紀と距離を置くようになる。