お熱いのがお好き?

デザートは、自家製焼きプリン、夕張メロンシャーベット。

寿司屋なのに、なぜかパティシエ自慢のフォンダン・ショコラ。


甘いものに目がない麻紀は悲鳴をあげそうになった。
欲張りだが、3つとも食べるしかない、と思った。


6時前でまだ店は空いており、麻紀達はすぐにテーブルのソファー席に案内された。


麻紀と雄哉が並んで座り、その向かいに梨花と竜聖が座った。


甘えん坊の雄哉は、いつも母親の麻紀の隣に座りたがる。


もう小1なのに、歩いていると、麻紀と手を繋ぎたがる。


2年に及ぶ清志との愛の生活の中でも、
麻紀が子供たちを思わない日はない。


あどけない頃に別れてしまった末っ子雄哉に、麻紀は特別な思いがあった。



早速子供たちは、寿司に目を輝かせ、廻るレーンから寿司の皿を手に取る。


「ぼく、雲丹!」


「私は、大トロ〜!」


雄哉も梨花も容赦なかった。100円寿司ではない。


内心、麻紀はヒヤヒヤするが、自分に言い聞かせる。


(…大丈夫。心配ない…小遣いは、清志がたっぷりくれたし、いざとなったら、クレジットカードを使えば良いし。

…そういえば、清志は、どうしているかな。
清志にもこの寿司を食べさせてあげたいな…)


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