お熱いのがお好き?
麻紀があっはっはと高笑いすると、梨花は「…そう」と言って不思議なものを見る目で麻紀を見た。
…あれ?ところで竜聖は?
と麻紀が斜交いに座る竜聖を見る。
「へ…?」
麻紀は目が点になった。
竜聖は、いきなり「夕張メロンシャーベット」を食べていた。
「竜聖〜そんなん、ご飯のあとでしょ…」
麻紀は呆れた。本当にこの子は、真和に似ている、と思った。
真和も食べたいものから食べてしまうと言う、悪癖があった。
「えっ…?じゃあもう食べないよ」
不貞腐れたようにいって、竜聖はシャーベットを食べていたスプーンをテーブルの上に置いた。
麻紀は慌てて竜聖の機嫌を取る。
「あっ…ううん、やっぱし、今日はいいよ。
せっかくの旅行だしね?
ごめん、なんかママ変なこといっちゃってごめん。好きなものから食べるのがイチバンだよね!」
(なんでこんなに、謝ってるんだろ…)
去年感じた、竜聖の気難しい面を麻紀はまたも感じ、面白くなかった。
それでも、竜聖を嫌いになることはない。竜聖には負い目を感じていた。
両親の離婚に一番傷ついているのは、一番歳上で物事が分かる竜聖だろう…
麻紀はそう思っていた。