お熱いのがお好き?
それにも関わらず、健気な竜聖は妹と弟を常に気にかけている。
父親似の竜聖だが、真和と決定的に違うのは、ドジな麻紀に対して冷ややかでありながら、時折優しさを見せてくれることだ。
女はこういう男に弱いもの。それは、子供であっても同じだ。
(竜聖、こりゃ将来、女泣かすな〜そういや、竜聖って結構、ジャニーズ系かも…)
麻紀がそんなことを考えていると、ふいに麻紀達のテーブルの横に人影が立った。
「ひ……!」
その瞬間、麻紀は悲鳴をあげそうになり、咄嗟に口を掌で押さえた。
「あらあ?あんた達、ここだったの!
偶然ね!
私もお寿司が食べたくって夕食、ここの店にしようかなって。
まあ〜本当偶然ねえ!
それじゃ竜聖の隣が空いてるから、座らせてもらうわ。その方がエコだものねー」
………元・義母葉子だった。
グレーと黄色のまだら模様のブラウスに、黒のマーメイドラインのスカート。
いつもながらの『THEおばさん』といった服装に、ドデカイべっ甲のペンダントを首からぶら下げ、ご機嫌の葉子は、訳のわからない事をいって、おーっほほと笑った。
いきなりの祖母の登場なのに、子供達は少しも驚かない。