お熱いのがお好き?
客の前でなんて、話してないのに…
麻紀は悲しかった。
「俺、店長から怒られちゃった。
特定のパートさん、贔屓するなって。そんなつもりないんだけど…」
清志から理由を聞き、分かっているのに、避けられているように感じてしまう。
前みたいに、楽しくお喋りがしたいーー
清志は独身だけれど、彼女がいるかもしれない。
清志と話したい。
清志のそばにいたい。
清志と夜を過ごしたい。
遊びでも構わなかった。
麻紀自身にだって、夫も子供もいるのだから。
思い詰めた麻紀は行動に出る。
自分のアドレスを書いたメモを、バッグヤードに1人でいた清志に手渡した。他の従業員達の目を盗んで。
あなたの事が頭から離れないの……と一言添えて。
その日の深夜、清志からメールが届いた。
[僕も高木さんの事が好きです。
高木さんが人妻だという現実が苦しくて仕方ないよ。
どうすればいいんだろう…]
メールを読み、麻紀は泣いた。