お熱いのがお好き?
「いいわよ!
麻紀ちゃんも食べなさいよ!
なんなら、おビール1本頂いたら?
私も1杯頂こうかしら?せっかくだものねぇ!
すいませーん。店員さん!
瓶ビール一本お願いします。出来れば、アサヒね。
あっない?
じゃあ、なんでもいいわよ!
早く持ってきてね。偶然の出逢いに乾杯したいから!」
葉子がツバを飛ばしながら、偶然偶然と言えば言うほど嘘臭かった。
子供たちの手前、葉子をはっきり拒否することも出来ない。
ここはぐっと我慢するしかなかった。
(こんなところで、こんなババアと酒を酌み交わすことになるとは…)
アルコールの入った葉子は、さらに饒舌になった。
「ね!明日の朝、雲海のテラス行くんでしょ?私も行くのよ!
雨は大丈夫そうだけど。見れたらいいわねー。
すごくいいみたいよ!
ロビーに写真飾ってあったわよね!
私もあんなの撮りたいわあ。
この日の為に、新しいカメラ買ったのよ〜。
前のやつ、アレが全然ダメでね!
アレってアレよ。
ズームよ、ズーム⁈」
絶好調の葉子は、1人で喋りまくり、子供たちもさすがにうんざりしてきたようだった。