お熱いのがお好き?
清志が八の字眉毛を寄せて懇願するのを、麻紀は笑って取り合わない。
こんな清志の顔が見たかった。可愛い。
めちゃくちゃ母性本能を刺激する。
清志は、今、快感の大波に乗っている。
振り落とされないようにすごーくすごーく頑張ってる。
「嘘ぉ…そんなに気持ちいいの?じゃ、こんな風にしたらどう?
こんな感じは…?」
麻紀は少し、意地悪な気分になる。
堪えるために歯を食いしばる清志を見てクスクスと笑った。
◇◇◇
(なんなのよ…もお…)
麻紀はピンクのベロアジャージ姿で廊下をドシドシと歩く。
葉子の出現によって、多いに気分を害した麻紀だったけれど、ホテルの部屋に戻り、子供達と連れ立って再び温泉に向かう頃には、その存在を忘れた。
(竜聖と雄哉は男風呂だったけれど)
久々に娘の梨花と女同士2人きりだ。
梨花は、大浴場の上がりがまちで、スリッパを脱ぐと、しゃがんでキチンとそれを整えた。
脱衣所では、脱いだ衣服を綺麗にたたんで脱衣籠に入れた。
麻紀は、自分のそれをぐじゃぐじゃに丸めて籠に突っ込んだのに。
祖母・葉子の躾の賜物だろうと思うが、仕舞うわけじゃない。
どうせ洗濯するのだ。
畳むなんて無駄…当てつけがましい、と麻紀は鼻白んだ。