お熱いのがお好き?


「待って!ママあ。髪が…」


麻紀が浴場に向かおうとすると、梨花が呼び止めた。


裸のまま、梨花は肩までのストレートヘアの両サイドに編んだ三つ編みをほどき出す。


そういえば、面会の時、梨花の髪はいつも可愛らしく結ってあった。

朝、葉子が結ってやるのだろう。


ホテルには、子供用の浴衣があるのに、子供達は、それぞれ家からパジャマを持ってきていた。

ひと目で新品だとわかるそれは、葉子が準備したものに違いない。


脱衣所で見た梨花の肌着も新品だった。

多少ヨレていようが清潔ならば構わないのに、見栄っ張りの葉子が人様の目に触れるからと用意したと察しがついた。


とは言え、葉子がかなりまめに子供達の世話をしている様子がわかる。


麻紀にとっては、うるさい嫌なおばさんでしかないけれど。




風呂上りには、部屋で子供達とトランプをして楽しんだ。


畳敷きのスペースに、4人が車座になり、ぺたんと座ってカードをやり取りする。

何をしても、竜聖がいつもトップだ。

梨花も、気弱そうな顔をしているのに、勝負ごとには真剣になる性分らしく目が険しい。





< 69 / 110 >

この作品をシェア

pagetop