お熱いのがお好き?
ミルキーボンバーちゃんと飲みに行く
ルルルルルル…
ルルルルル……
真っ暗な部屋の中、電話の呼び出し音が鳴り響いた。
(えっ…もう4時?)
麻紀は寝ぼけた頭で、ベッドサイドに置かれた電話の受話器を取った。
寝る前にモーニングコールを設定したのだ。
(眠い〜雲海のテラスなどどうでもいいわ…)
手に取った受話器を元に戻そうとした時、小さな声が聞こえてきた。
慌てて耳に当てる。
「…もしもし?
高木麻紀さんのお部屋ですか?
あたし、カレンです…子ども達、もう、寝ましたか?
ホテルのバーで逢えないっすか?
色々、お話がしたいな…」
カレンの小さな鈴が鳴るような声が聞こえてきた。
ベッドサイドのデジタル時計を見ると、午後10時だった。
着替えるのは面倒だから、ピンクのジャージのままで行くことにした。
簡単にアイシャドウを入れ、アイラインを描き、リップを引く。
寝癖の付いた髪は、ひとつにまとめて蝶の形をした黒いヘアクリップで留めた。
仕上げに軽くフェイスパウダーをはたく。
田舎のリゾートホテルのバーだ。
(がっつりお洒落するほどのところじゃないよね…)
麻紀は思った。
一緒のベッドで寝ている雄哉は、あどけない寝顔を見せている。
隣のベッドルームでは、竜聖も梨花もぐっすり寝ていた。