お熱いのがお好き?
「じゃあ、カレン、『越乃寒梅』いっちゃいます♡」
カレンのシブ過ぎる選択に麻紀は、度肝を抜かれた。
「え…それって日本酒じゃない…分かってんの?カクテルと勘違いしてない?」
「嫌だあ。麻紀さん!
そんなカクテルあるわけないじゃないすか。マー君が日本酒派なの。
マー君が飲んでる時、カレンも悪戯してちょっぴり飲んじゃうんだあ。
あ、もちろんキュンと冷やでお願いします♡」
カレンの話ぶりからして『マー君』とは、あのおっさんのニックネームであるらしい。
なんか面倒臭くて、その件に触れるのはやめておいた。
生ビールとコップ酒で乾杯する。
「偶然の出逢いに乾杯♡」
(ゲッ…)
カレンの『偶然』という言葉に麻紀は一瞬、葉子を思い出し、眉をしかめた。
それにしても、カレンという子はいちいち語尾に♡がつくような甘ったれた話し方をする…と麻紀は思った。
でも、声が小鳥みたいで可愛いから、嫌味にならない。
かなり男ウケするだろう。
しかも、モデルになれそうな美貌とスタイルも持っている。