お熱いのがお好き?
真っ正面にいるカレンといえば、しゅんとして肩を落としているが、それでも麻紀の言葉ひとつひとつに、こくんこくんとうなづく。
(美人な上に素直な性格って…なんか腹立つよね…)
麻紀のひねくれた思いなど、カレンは知る由も無い。
両手で包むように持っていたコップ酒を一口すすると、麻紀の目を真っ直ぐ見ながら語り始めた。思い詰めた口調で。
「…マー君は、社長さんなんです。
居酒屋とか飲食店5コ位もってて。
あと、マンションとアパート経営もしてて。
カレン、マー君の居酒屋で働いていて知り合ったの。酔ったお客に、店が終わったら付き合えって、すっげえしつこく絡まれているところに、マー君が現れたんです。
マー君はオーナーだから、めったに店には、来ないんだけどまたまた店の様子を見に来ていたの…」
カレンの頬は、酔いのため濃い目のチークをいれたように紅く染まっていた。
「へえ。助けてもらって、惚れちゃったんだあ。よくあるパターンだよね!」
テーブルに肘を付き、ポテトフライを貪り食いながら麻紀は言った。