お熱いのがお好き?


「カレン、やってないって言ったのに、店長は全然信じてくれなくて。

エミとミキは警察に連れて行かれたけど、カレンは事務所に残されて、店長と二人きり。

事務のハセガワさんはぎっくり腰で休みだったし、桐島ちゃんもどっかに行ってて誰も助けにきてくれないし。


店長、すっげえしつこくて。

ミキ達は素直に罪を認めたのにカレンは嘘つきだって。
そんなんじゃ、将来ロクでもない人間になるから、手を出しなさいって、すっげえ怖い顔で言われて…」



カレンは、当時を思い出したのか、今にも泣きそうに美しい眉を歪めた。


「手?」


あの眼鏡を掛けたバーバパパみたいな店長。真面目だけが取り柄の男だ。


そうだ。

あの日、主任の清志は、他店のオープンセールを手伝いに行っていたから不在だった。


それをいいことに誰もいない事務所であのおっさんは、美少女カレンに狼藉を働いたというのか。


「…店長、私の右手を引っ張って…」


「何…?」


ゴク、と麻紀は唾を飲み込んだ。





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