お熱いのがお好き?
「えっ?」
麻紀が振り向くと、20代後半位の若い男が2人立っていた。
「そのお酒、俺達におごらせてくれませんか?」
「ほへ?」
突然なことで麻紀は、間抜けな返事をしてしまった。
「俺達、出張でここのホテルに泊まってるんだ。
今日は最終日で明日は東京に帰るんだ。良かったら一緒に飲まない?
トマムの夜に乾杯しようよ」
すらっと背が高く、イケメンな青年達だ。
声を掛けてきた男は、青いTシャツにブルーのタンガリーを羽織り、ブラックジーンズを履いていた。
可愛い系の甘い顔立ちだ。
もう1人の方は、面長でキリッとした奥二重の目がクールな感じ。
黒いポロシャツにチノパン姿という気負いのないラフなスタイルがキマっている。
2人の表情は、任務が終わった開放感に溢れていた。
麻紀の胸は、ズッキーンっと高鳴る。
今までの麻紀の人生で、こんなレベルの男には、全く縁がなかった。
(しょ、所詮、あんた達カレン狙いでしょ…私なんて、保護者みたいなもんだもんね…)
ちょっと拗ねた気持ちで、麻紀はテーブルのそばに立つ彼らを見上げる。
だが、そういうわけでもなさそうだった。