お熱いのがお好き?
あまりにも無防備なカレンに、麻紀はふと母親目線で思う。
このカレンという娘には、護ってくれる男が必要だ…と。
カレンは自分の美貌を自覚していない。
純朴な田舎娘のようなカレン。
それでいて、男には、貪欲に大きな愛を求める。
両親の愛に恵まれず育ったカレンは、外見はチャラチャラとしながらも、内面には複雑な思いを秘めている。
それは、ガラス細工のような危うい脆さで、ひとつ間違えて砕けてしまえば、カレンはどうしようもなく、傷つき、墜ちていってしまうだろう。
華やかなカレンには、黙っていても男が次から次へと近づいてくる。
中には、彼女の美貌を利用しようとする悪い奴がいるかもしれない。
マー君とやらが本気でカレンを愛しているならば、護るという意味で彼女にとって彼は最適な相手かもしれない……と麻紀は久々にシリアスな思考に耽る。
「カレン、歌いたくなっちゃったあ。麻紀さん、ちょっと歌ってきますね~」
突如、そう言ってカレンはパッと立ち上がった。
麻紀が唖然する中、鳥が飛ぶように両手をヒラヒラとさせながら、店の奥にあるカラオケセットに歩み寄る。
「ちょっと、スイマセン!」