お熱いのがお好き?
麻紀は自分の尻と椅子の背もたれの間に置いた愛用の黒いショルダーバッグを引っ張り出し、膝に置いた。
中を探り、「あった!」と言って緑のキャップの小さなボトルを手に取る。
そして、水戸黄門の印籠のように、両手を伸ばし、カレンの目の前に突き出した。
「なあに。これ…?」
カレンは小リスのように愛らしく首を傾げた。
「ジャ、ジャーン!」
これこそ麻紀の秘密兵器、只今、清志と大ハマり中の[ホットローション]であった。
「エッチの時、お互いの身体に塗るのよ。塗るとホットになってすっごく敏感になるから。
これ、使ってみなさいよ!」
実はローションは3本セットだったのだ。
この間の[宮古]で清志と1本使ったものの、だらしない麻紀は、残りの2本をバッグから出すのが面倒臭くて入れっぱなしにしていて、つい北海道旅行にまで持ってきてしまったのだ。
こんな形で役立つとは……
「どうやって使うの?どんな時に使うの?どのくらい使うの?」
カレンは興味深々で身を乗り出し、真剣な顔で矢継ぎ早に麻紀に質問を重ねてきた。
テキトーに使えよ、といってやりたかったが、カレンの食い付きぶりに麻紀は使用方法を大雑把に教えてやった。