出会いは偶然じゃなくて運命
昼休み、私は先生から呼び出されていたので、教員室のある3階に来ていた。
この学校は受験生である3年の教室の近くに教員室がある。
用事が終わり、教員室を出ると颯太先輩が女の先輩に囲まれていた。
あーあ。さすがですねー。
と思いながら横を通ろうとした時、
ガシっと腕を掴まれた。
えっ、
見ると颯太先輩だ。
な、なに!
「なんですかっ!」
『颯太〜。誰、その子?』
『わり。俺こいつに用があるから。』
『えー。颯太ー⁉』
颯太先輩はそう言うと私の腕を掴みながら走って行った。
ちょ、なんなのよ!
「ちょっとっ!先輩っ!なんですかっ」
『あー。助かった。悪かったな!ありがとう』
は。
なになに。逃げるために私まで一緒に走ったわけ?
「ちょっとやめてくださいよ。私教室帰るんで。」
『いや、用があったのはほんとっ!』
「じゃあなんですか。早くして『綾。』
っ!
「匡…。」
昨日の今日…
やばくない…?
『おお!匡!ちょっと彼女に話しあるんだ。借りていいか?』
『…いいですよ、待ってるんで。』
え、いいの?
『な、博音となんかあったか?』
「え、お兄ちゃんですか?」
匡を気にしながら聞き返した。
『なんかあいつ一日中不機嫌だし、落ち込んでんだよ。』
「知りませんよ。お兄ちゃんが落ち込むわけないじゃないですか!」
『いや、あれは落ち込んでる。あ、博音だ。』
後ろを振り返ると、確かに…確かに不機嫌なお兄ちゃんだ。
『おい、博音。』
『あ?…なんでお前いんだよ。』
「え、私?先生に呼ばれて。」
『あっそ。…っ!』
お兄ちゃんな匡を見た。
すると…
2人がに、睨み合ってる⁉
『…ふーん。なるほどねー。わかったわかった!じゃあな、博音と妹。』
「え。あ、はい。さよなら。」
なんでお兄ちゃんと匡が睨み合うのかわからなかったけど、取り敢えず颯太先輩は理解したみたいだ。
「匡、行こう。」
匡に言うと、
ガシっ
腕を掴まれ、私を引っ張るように早歩きで歩き出した。