出会いは偶然じゃなくて運命


「だ、大丈夫…休み時間終わるから帰ろう?」

『あぁ…。』

気まずい雰囲気。

教室に帰ると


『綾、遅かったねー!って…え、どうしたの?泣いた?右頬赤いよ?』

のんちゃんがすぐに気づいた。

「泣いてないよ!右頬は…お、お兄ちゃんにつねられた!あはは」

『そっか…。博音くんは…綾の顔に傷つくことはしないと思うな。つねるならいつも鼻じゃない。』



お兄ちゃんのせいにしてる自分が嫌だ。


ごめんね、お兄ちゃん。


『おい。』

ドアのほうを見ると


「お、お兄ちゃん⁉」


『ちょっとこっちに来い!』

ええー、もうすぐ授業始まるし、先生くるよ?

「どうしたの?」

『お前、どうせあの彼氏に話すなとかくだらねーこと言われてんだろ?だから、学校では話しかけねーよ。いじめる対象が減ってつまんねーけどな。』

「お兄ちゃん…」

うるうるっ

『な、涙ぐんでんじゃねーよ!…お前、右頬赤くね?』

ギクッ

「そ、そんなことないよ!」

しばらくお兄ちゃんは黙ってた。

「お兄ちゃん?」

先生来るって!

『…。ま、さっき颯太と話してたし、文句言われて落ち込んでんじゃねーかと思ってきたけど、大丈夫そうだな、つまんねー。』

一言余計だっつーの!


「大丈夫だよ。ありがとう」

お兄ちゃんに頭をぐしゃぐしゃなでられた。

「やめてよ!髪が崩れる!」

『かわんねーよ!…ほら。』

そう言って何か渡してきた。

「なに?…あ!飴ちゃん!」

『これ舐めてろ。 バカブス。じゃあな。』

「ありがとう!」


なんか優しい。お兄ちゃん。
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