youth!!
退屈な日々。
1
「あぁもう!恋もしないまま高3になっちゃったよー受験だよー!」
放課後の教室で私は叫ぶ。
「夏海ちゃん?どしたの急に。」
友達のるりちゃんが心配そうにのぞきこんでくる。
夏海。
この海の見える町で育った母が、夏の海みたいにキラキラしてほしいって願いをこめてつけた名前らしい。
「だって勉強だよ?受験だよー?もうやだー!!」
足をバタバタさせる。
「そうだよねー‥もう6月だもんねー。早いねぇ。」
普段はふわふわニコニコしてるるりちゃんがしんみり言うからほんとに悲しくなる。
私の座る窓際の席から外をながめる。
窓の外に見える坂道の下に広がる海。
今日もキラキラしてるなぁ‥
「私さー、家帰ってもどうしても勉強する気になれないんだよねー。」
海をみたままるりちゃんに言ってみる。
「あ、それなら‥」
「なに!?いい方法あるの?」
思わずるりちゃんの方に向き直る。