youth!!
「ほんと?じゃあ私は美保ちゃんと山田さんの分も‥」
それから美保と山田さんはひたすら水をかけあって
私とるりちゃんはひたすら貝殻をさがした。
私とるりちゃんは1人一個ずつ綺麗な貝殻をさがしだした。
私がピンクのハート。
るりちゃんはオレンジ色の巻貝。
美保は紫色のあさりみたいなやつ。
山田さんは真っ黒でツヤツヤしてる平べったい貝殻。
「よし、帰るかー‥」
気づいたら日が水平線に沈みはじめている。
と、その時
「帰りたくなーい!!勉強したくなーい!!」
美保が急に海に向かって叫ぶ。
「楽しかったー!!」
それに乗って叫ぶるりちゃん。
「私もー!!」
「美保のばかー!!」
「山田さんのばかー!!」
みんな好き勝手叫んだ。
海からあがって砂浜にある備えつけの水道で足を洗いながら話す。
「あー、楽しかった。」
「夏がくるんだよねー‥」
「なにそれ。」
「ほんとは、皆でお祭りとか花火大会とか行きたかったねー。」
「今年もやらないのかなぁ‥」
この町は昔は大きなお祭りと海岸の花火大会があった。
お祭りは、海辺に特設ステージと屋台を設けて、花火は海岸から打ち上げられた。
私が小学生の頃の記憶だけど‥
皆が笑顔で、キラキラしてて、すごく楽しかった気がする。
「いつから中止になったんだっけ?」
「んー‥私たちが中学にあがった年かなんかだよね‥」
お祭りも花火大会もいつからか、やらなくなった。
家で母親がぼやいていたのを覚えている。
"皆楽しみにしていたのにねー‥私が子供の頃からあったのよ?なのに市の予算削減とか赤字がなんとかで‥まぁ不景気だからしょうがないんだけどね。こんな地方の小さな町だもの。残念だなぁ‥"