youth！！

25

一時間後。
手早く準備して集合する皆。

「にしても、なんでバス停？？山田さんの家あるいてすぐじゃん。」
私はずっと不思議に思っていたことを尋ねた。

「もう一つの家。別荘。」

「別荘！？」

「うん。今日家にお父さんいるし‥別荘も結構広いよ。」
平然と答える山田さん。
別荘とか‥何者だよ。
「いや‥うん。めっちゃ広そうだけど‥」
「楽しみだねー！」
「よっしゃ行くぜー！！」


それからバス停に乗り込む。

「終点で降りるから。」
海岸線バスと呼ばれる、海岸をずっと走っていくバス。
終点はたしか‥寄浜海岸。

寄浜海岸っていったら‥有名な別荘地じゃん！？
いくつかホテルもあって、旅行客も結構くる、リゾート地。
さすが‥山田さん。


にしても‥


バスに一時間揺られると、少し変わってくる景色。
黄色っぽい砂浜は白っぽい砂に。
見晴ヶ丘のちゃちな住宅が並ぶ町から、大きな洋風の家が並ぶ町に変わってきた。
家と家の間の間隔が広い。


「すごーい‥なんか綺麗な町‥」
「すごいねー！」
るりちゃんが隣から身を乗り出す。
2人して窓の外に釘付け。

「るりちゃん‥起きてたの？」
「うん！美保ちゃんと山田さんは寝てるみたい。」

「寝てるってか、爆睡じゃん。」
「ふふっ、夏海ちゃん‥今日明日は思いきり楽しもうね！！」

そう言って笑うるりちゃん。

「うん！そうだよね！楽しまきゃ、損！」
「そうそう！嫌なことも全部忘れて‥あ。ごめん」
少し気まずそうに私をみるるりちゃん。

やっぱり、気づいてくれてたんだ。
「嫌なこと‥ねー‥そうだよね！今日は全部忘れます！！ありがとね！るりちゃん。」
そういうと笑って頷くるりちゃん。


「でもねー‥ほんとはこの合宿、提案したの山田さんなんだよ？」

「うぇっ！そうなの？」
びっくりして
思わず変な声がでた。

「うん。夏海ちゃんが元気ないからー、なんかしようよって。」
「そうなんだー‥山田さん‥」

車内アナウンスが流れる。
「まもなく、終点、寄浜海岸。寄浜リゾート、寄浜モールをご利用のお客様はこちらで降りてください。」