youth!!


「あ、なっちゃん!自転車乗る?後ろ。」

「え?」

「早く帰って寝るなり勉強するなりしたいでしょ?チャリならすぐだよ。」

「いいの??」

「もちろん。乗って!」
海くんが自転車をまたぐ。

私はおそるおそる海くんの自転車の後ろの荷台の上に乗る。
「ごめんっ‥重いよ?」
「大丈夫。」

「ほんと?」
「ほんと。ほら、乗ったらちゃんと掴まってね。」

そう言って私の手をつかんで自分の腰にまわした。
「わっ‥」
私はびっくりして手をひっこめる。

「ちゃんと掴まってないと危ないよ。」
海くんが後ろを向いて言う。

「ごめん!ちゃんと掴まります。」

私はもう一度手をまわした。
制服のシャツ一枚から伝わってくるぬくもり。
でもやっぱり女子とは違ってなんかごつごつしてる感じ。
いい香り。


すると海くんが‥


「もっとギューってして。」

私は恥ずかしくなる。
でも言われた通りにした。
少し強く掴まる。

「じゃあ行くよ!俺結構飛ばすから。」
「はい。」


自転車で坂道を駆け下りる。
夜の風が通り抜けていく。
気持ちがいい。


「海くん!ちょっと速いよ!」
「まだまだー!」
「わっ!危ない!怖い!」
「はははっ!ちゃんとつかまっててね。」
海くんはなんだか楽しそうだ。
私が怖がってるのをみて笑ってる。

まったく‥



自転車に乗って下る坂道はあっというまだった。
そのまま家の前まで送ってもらった。
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