youth!!


夜の海できくとなおさら。

私は気づいたら涙を流していた。

昔からそうだ。
私はよく笑いよく泣いていた。
中学の卒業式でも号泣だったし
動物ものの泣ける映画では誰より早く泣く。

この歌で泣くのは何回目かなぁ‥


とその時。

急にイヤホンを外される。
誰だろう?

私が振り向くとそこに立っていたのは海くん。
「海くん!?どうしたの?」

「会いたくてきちゃった。メールからしてここかな?って。‥なっちゃん泣いてる?」

「ううん!これはなんでもな‥」

急に抱きしめられて私は口をつぐむ。
海くんは私を抱きしめて耳元で囁く。

「なんで泣いてるの?なっちゃんの泣き顔見たいけど見たくないよ‥」

「なにそれ。大丈夫だよ‥海くん、あったかいね。」

「うん。よく言われる。」

私は耳につけてたイヤホンの片方を海くんに渡した。
海くんは黙ってそれをつける。

私はあの曲を再生した。

静かな海。
2人きりの砂浜。
大好きな歌。



最後まで聴き終わると海くんはため息をついた。
「いい歌だね。」

「でしょ?私これ聴いて泣いちゃって‥ふふっ、かっこ悪いよね。」

「んなことないよ。でも俺びっくりしちゃった。なっちゃん1人で泣いてるんだもん。」


「ごめん。」



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