A stellar miracle.




「ペンキの馬鹿野郎――っ!」




文化祭よりも何よりも。
今日は、今日だけは、少しでも可愛い私でいたいのに――――。


ごしごしと肌が赤くなり、終いには痛くなるほどに擦っていたら、



「馬鹿、そんなことしたって取れるわけないだろ」




なんて声が頭上から聞こえて。




「…都筑…」




声だけでわかるよ。
誰かなんて。

ねえ、都筑。




「ほら。石鹸【せっけん】、保健室から取ってきたから。洗うぞ」

「…っ!」




そう言えば、都筑は自分の手に石鹸で泡を立てて、私の肌に触れる。


―――っ!
嘘でしょ?!

私の肌に触れる手は優しくて、自分の手じゃない手が、頬を滑る。




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