ニ択 地球
「すべてを壊す」

1人の半人前の天才では、何もできないことを彼は悟った。

警察さえも、説得できない。

彼は、人が言う栄光の道を捨てた。

すべてを破壊へ向けた。

「すべては、愛の為」

彼女を殺した相手は、かつて財閥と言われた企業の御曹司の1人。

そいつが若気の至りで、仲間達と殺したのだ。


「僕1人で、維新を起こそう。但し…」

久沓は空を見上げ、

「新しい国はつくらない。組織は、人間を腐らせる」

フッと笑った。





「また…あいつか」

幾多は、町並みを破壊する火柱達を見つめながら、拳を握り締めた。

「如何致しますか?あの男を支持する者も増えてきました。彼の爆破は、人を魅了します」

後ろに立つ女の言葉に、幾多は肩をすくめた。

「火柱の魅了だけではないよ。やつの行動は、破滅的だ。なのに、やつの思想は、未来に向いている」

そして、幾多も火柱に背を向け、歩き出した。

「愛という幸せ」

幾多は、ゆっくりと目を瞑った。

「幾多様は…久沓をご存じなのですか?」

女は、幾多の言い方にはっとした。

「ああ…ちょっと昔ね」

幾多は目を開け、口元に笑みを浮かべた。




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