幼馴染み

実家への道のり

実家のばぁちゃん家は山の上に建っているため、駅から山を2つ越えなければ行けない。

車でも片道2時間かかる道のりだ。

若い頃は、ばぁちゃん家から駅まで自転車で行ったことがあるのを思い出し、昔みたいに『楽にたどり着くだろう』と考え歩くことにした。

ひとつの山の中腹ぐらいにきた時、すでに限界が来ていた。むしろ限界だった。

木の日陰で少し休んでいると、誰も乗っていないバスが止まり、運転手が話しかけてくれた。

『おめぇさん何してんだ?』

『ちょっと実家まで歩こうかと思って歩いてみたらこのとおりです。』

と私は半笑いで言葉を返した。

『どこの村だ?』

『八城村です。』
八城村という村に実家がある

『八城村?ここから山3つ越えなゃあ、行けんべ。』

と運転手は恐ろしいことを口走った。

『三つ!?』

私は気が遠くなりそうになった。

『二つの間違いではないのですか?』

私は恐る恐る聞いた。

『二つは白百合村だべ』

そうだった。あの時は一人で駅まで行ったんじゃなかった。

あいつがいたんだ。

『白百合村までなら行くけど乗るかい?』

と聞かれて私は疲れた声で『乗ります』と言った
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