幼馴染み

父親

小さい頃私は父が大好きだった。

優しい父親であったからである。

母は父さんのことをずるい人だったという。

なぜなら私を怒ったり、躾をするのはいつも自分だったため、父親はいつも褒めたり、甘やかしたりしかしなかったからだ。

なので父が出かける時は必ず父と一緒にいた。

父は釣りが趣味だったので、どこでも釣り道具をもって釣りをする人だった。

その日も父が釣りをし始めた。

釣り竿はうんともすんともいわなかったので、父は少し私から離れて釣りをし始めた。

時間が刻々と過ぎ、父が魚を釣れないことを知った私は、可哀想と思い川から見える魚を素手で捕ろうとした。

そのときである、川がいきなり深くなる事を知らなかった私は、一瞬で水中に引きずり込まれた。

声を出そうとしても口の中に水が入ってきて大声を出すどころか、水を飲んでしまうばかりだった。

私が落ちた音を聞きつけて、父親が川に入ってすぐに私を浅瀬まで上げてくれた。

しかし、私を助けた父は急流に流されてしまい、私の視界から見る見るうちに消えていってしまった。

私は川岸の草や枝をかき分けて家に戻り、傷だらの姿で母親に、父が川に流されたことを泣きながら話した。
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