おかしな二人
はぁ~、と項垂れていると、隣では、なんとか解決した事に安堵の息をつく依頼者。
少し冷め始めたコーヒーをまたも優雅に飲み、よかった、と小さく零す。
どこがよかったんじゃっ!
こっちは、びしょ濡れだってのっ!
しかし、これもお仕事。
仕方ないと、割り切るよりない。
「じゃあ、僕はこれで」
依頼料は、口座に振り込んでおく、といい終えて立ち上がる。
あたしが、ありがとうございます、と営業用に頭を下げると、また何かあったら頼むよ、と白い歯を見せ笑った。
是非、よろしくお願いします。と仕事モードでもう一度頭を下げたけれど、腸のグツグツはピークに達していた。
今度会ったら、あたしがあんたにバケツの水ぶっ掛けたいくらいだ。
憤慨しながらも営業スマイルで依頼者を見送ったあと、レストルームへ。
鏡の前で濡れてしまった髪の毛や洋服を、ハンカチで丁寧にふき取っていく。
それから、着替える前の貧乏アイテムが入った紙袋を提げ、着替えもせずに水上さんちへと帰宅した。