おかしな二人


マンションへ戻ると、水上さんはまだ帰っていないらしく、部屋の中は真っ暗だった。

「今頃、メンバーと楽しく盛り上がってんだろうなぁ」

情けなく声に出して、溜息一つ。

こんな依頼引き受けないで、哲さんのお誘いに乗ればよかった。

それでも、貰える金額は大きいからなぁ。

でも、依頼者の代わりに水を掛けられてむしゃくしゃしているから、口座にお金が振り込まれたらババーンとコートを買っちゃおうか。

豪快にそう思っても、何故か虚しさが胸に広がっていく。

何故だろう。
女を弄ぶ、依頼者のような男が許せないからだろうか。


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