おかしな二人


「どないしたんや。その服と髪」

睨んだままの表情で家に上がりこみ、怒ったようにスタスタとリビングへ向かう。
その後ろを、遠慮がちに追いかけた。

「えっと、これは今日のお仕事でちょっと……」

要領を得ない返しに、ふんっ。という怒りの鼻息が返ってくる。

「似合わんな」

吐き捨てるように言うと、着替えを持ってバスルームへ行ってしまった。

うぅ……。
似合いませんか。

そうですか……。

なんとなく、自分でも似合っていないんじゃないかとは思っていましたが。
ああも、あからさまに言われると、流石にちょっぴり傷つきます。

でもね、仕事だったんですから、仕方ないんですよ。
好きでこの洋服選んだわけでも、このヘアスタイルにしたわけでもないのです。
総て、依頼者のご希望に沿ったまでのこと。


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