おかしな二人


不機嫌な表情のまま、水上さんがドカリとソファに腰を下ろす。
テレビをつけると、画面を見たままあたしを呼んだ。

「あかりっ」
「はいはい」

ゴマすり人形のように傍に行くと、あさって大阪へ戻る、と一言。

「新幹線で帰るから、東京駅まで車で送ってくれ」
「え? 車ですか?」

「免許、持ってるんやろ?」
「はぁ、まぁ、一応」

便利屋の仕事を始めたときに、社長から車の免許は取っておくように言われ、なけなしの金をはたいて、全て一発合格をして手に入れた免許証。
けれど、結局のところほとんど運転する事がないまま、今に至る。

そんなあたしの運転でよければ、いくらでも。

縁石ガリガリ擦っちゃうかもよ。
えへ。


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