おかしな二人


それはさておき。

「明日のお仕事は?」
「明日は、午後からオフや。午前中、少しだけ出てくる」
「わかりました」

スケジュールの確認を済ませ、あたしもお風呂をいただいた。

金持ってんぞー。の依頼者にこぎれいに整えられた、しっとり清楚な偽者婚約者は、元の貧相な明へ戻るのでした、ちゃんちゃん。

「まるでシンデレラだわ」

ボソリと洩らし、ドライヤーを手に持ち洗面台の前で髪を乾かす。

鏡に映る自分の間抜けな顔を見ながら、水上さんはしばらく留守になるんだなぁ、と思った。

てーことはよ。
ここのお仕事は、しばらくないって事よね。

まぁ、それなりにお掃除はするけれど、あれもこれもなんて追い立てられる事もないわけか。

だったら、時間ももったいないし、便利屋の社長に連絡して、ちょっとお小遣い稼ぎでもしようかな。

タイム イズ マネーだわ、うん。


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