おかしな二人


満腹になった水上さんは、ご機嫌で仕事へ向かう。

それを見送ってから後片付けを済ませ、地下のガレージへと行ってみた。
出かけ際に預かった、リモコン付きのキー。
ガレージの入口に立ってから、そのONボタン押すと、奥の方で一台の車のライトが光った。

「おお。あの車か」

近寄って、中を覗きこんだ後、乗り込んでみた。

まぁ、国産車だけど、嫌いじゃないな。

悪くないよ、国産車。
一般人に紛れ込むには、やっぱり国産車でしょ。
うんうん。

やけに、国産車というところに力を入れて言ってみる。

何も、芸能人がみんな外車に乗っているとは限らんもんね。

いいよ、国産車。
素敵よ、国産車。

しつこく呟き、スモークの貼られた黒光りするミニバンに乗り込んだ。


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