おかしな二人
そんなあたしの目の前に立ちはだかった、ひょろりと大きな壁みっつ。
気をつけていたつもりだったのに、あたしはそのうちの一人、ちょっとのっぽな若者の足に躓きアスファルトに膝をついてしまった。
「うあっ!! イッたい」
大袈裟な声を上げても、街の喧騒はあっという間にその叫びを飲み込み、何事もなかったような顔をする。
おかげで、アクセントつきの痛いは、グレーの道に寂しく転がるだけ。
あぁ、虚しい……。
転んだ拍子に突いた手をパンパと払い、恥ずかしさと、じんわり痛む膝に項垂れていると、スッと目の前に手が伸びてきた。
ぶつかったのっぽのお兄ちゃんかと思い顔を上げたら、以外や以外、水上さんじゃあ、ございませんか。
「んっ」
掴まれ、といいう感じで手をもう一度グイッと差し出してくる。
えっえっえっ?
この手を取れ、ってこと?
とっとと先を行っていると思っていた彼が目の前に立ち、神のような慈悲深い手を差し伸べている。