おかしな二人


あまりに不釣合いなその態度に、咄嗟に体が動きません。

もたもたとしていると、片方の手を掴まれヒョイッと軽々体を持ち上げられた。
細っこい身体つきからは考え付かない力強さで、あたしは助け起こされる。

水上さんも、男なんだよねぇ。

感慨深く思いながら、水上さんの腕の辺りを見た。
長袖に隠れて見えないその中には、きっと逞しい筋肉の筋が盛り上がり、少し血管なんかも見えちゃう腕があるんだろう。

「東京は、人が多いからな。気ぃつけなあかんで」
「あ……、ありがとう」

繋がった手のままお礼を言うと、水上さんはそのまま歩き出した。

結果、この若者溢れる活気ある表参道で、手を繋いで歩くことに。

あたしは、意外と逞しいと気付いたその腕と繋がる手になんだかドキドキしていて、なにやら、とぉーってもこっぱずかしい。
うっへぇー、なんて耳を熱くしながら、水上さんに手を引かれるあたしは、傍から見たら彼女に見えちゃったりするんでしょうか?

こんなところを写真にでも撮られたら、えらい事になりそうだ。

あたしは、なるべく顔を伏せるようにして歩いていった。


< 134 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop